じゃなくても、いいじゃない  ⭐︎ムナカワミラ⭐︎

主婦の戯れ言です。正義感、ポリコレ、頑張り、夢などに胸熱にならない方、よろしくお願いします。

今週のお題「人生最大のピンチ」☺︎捨てる経験なし

さて、#今週のお題「人生最大のピンチ」について。

かのナポレオンは「余の辞書に不可能の文字ははない」とおっしゃったそうですが、「私の辞書に準備万端の文字はない」という人生を過ごしてきているので、ピンチ、脱出、ピンチ、脱出の繰り返しの中で最大のピンチかどうかはわからないけど、今でもたまに夢に出てくる話を。

あれは、大学卒業の時期。卒業に必要な単位数は何とか取り終え、あとは残すところ卒論のみに。

英文科でSF・ファンタジー文学を専攻していた私は、卒論にイギリスの作家チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」を研究することに。卒論は、厳格に決まった形式で英文30枚以上、A4で8枚の英語の要約と、日本語2枚の要約の提出が必須条件。前々からちゃんと勉強して書き溜めていれば、大変なことにはならないと頭では分かっているものの、準備という文字を知らない私は、そうは問屋が卸しません。

今みたいにGoogle翻訳先生もLINE翻訳先生もディープL翻訳大先生もいない時代。参考図書も英語のものは辞書をひいてコツコツ読むか、翻訳本を図書館で探すか、章の冒頭だけ読んで当たりを付け、引用出来そうな箇所だけ見つけて全部を読んだかのような感じを醸し出すかの3パターン。遅々として進まない。

手書きは不可。しかし持ってるパソコンは実家の応接間に置いてあったPC-98というデカいデスクトップのみ。自室に持ち込めないので、私はOASYS(オアシス)というワードプロセッサー、略してワープロをまぁまぁな値段にも関わらずねだって買ってもらいました。

クリスマス・キャロルにおけるディケンズからのメッセージ」という論文の論旨に沿って、キーワードとなるディケンズ(Dickens)」や「メッセージ(message)」などを単語登録すると、時間短縮この上ない。今までは、主に英文タイプを使っていたので、その見知らぬ機能の豊富さに狂喜乱舞していました。

最後の10日間くらいは、ほぼ徹夜。もう留年でもいいや・・、いや、ダメだ、眠い、いや、今寝たら死ぬ雪山だと思え!と友達と夜中の電話で励まし合いつつ、何度も訪れるピンチをかわし、何とか書き上げて提出日ギリギリに提出。やったー、とりあえずピンチ脱出!

しかし、完全脱出ではないのです。そう、卒論には口頭試問が残っています。無事、受理された論文を元に後日、教授陣5人を前に30分間に渡って質問がされるのです。特に人見知りでもないし、切り抜けることは可能。そして予想通りつつがなく口頭試問を終え、心の中で卒業は貰ったぜ!と思いつつ「ありがとうございました♡」とニッコリと席を立ったと同時に、神経質で有名な教授の1人から、

「ミラさん、最後にちょっと。論文の題名が、ディケンズからのマッサージ(massage)になってますよっ

え?えぇっ?マッサージ?!た、た、単語登録したはずなのに・・・

そして走馬灯のように思い出しました。そう、私は提出日当日の明け方に仕上がった論文を印刷したところで力尽き、少し寝てから体裁を整え・・・あ、表紙を作り忘れてた!と気づき、表紙だけ後から急いで入力して作成したのです。ほんの数行のことだし、単語登録は使わずに。

まさか、論文において1番大事なタイトルでmessageをmassageと打ち間違えてるとは!!油断大敵!!それから卒論が通ったかどうかの発表までの1週間は、生きた心地がしませんでした。

この間違いを糧に、サイゼリアにあるキッズメニューの間違い探しの折には「細かいところじゃなく、意外に大胆なところこそ見逃してることがあるのよ!」って子供たちにアドバイスできる母になりました。何事も捨てる経験はないですよね。